Ahrefs・Semrush・Moz 主要SEOツール徹底比較レポート(2025年4月時点)

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NeX-Ray マーケティングミックスモデリング
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1. 被リンク分析(バックリンク分析)機能の比較

各ツールとも被リンク(バックリンク)分析機能を備えていますが、そのデータ量や特徴には違いがあります。

Ahrefs: 最大級の被リンクデータベースを持ち、新規/消失バックリンクの発見が特に迅速と評価されています。実際、Ahrefsのバックリンクチェッカーは競合より数日から数週間早く新しい被リンクを検出できることが多く、精度も高いとされています 。被リンクの本数や参照ドメイン数、アンカーテキスト、フォロー/ノーフォローの別など詳細を確認でき、リンク元ページのURL評価(UR)やドメイン評価(DR)といった独自指標で質を判断できます。また競合サイトとの比較機能も充実しており、例えば「リンクインターセクト(Link Intersect)」機能で競合だけに存在する被リンクを洗い出すことが可能です 。

Semrush: SEO全般の総合ツールであり、被リンク分析も豊富なデータに基づいて行えます。Semrushは43兆件以上のバックリンクデータを蓄積していると公称しており 、主要ツールの中でも遜色ない規模のリンクインデックスを持っています。被リンクの数・参照ドメイン数、アンカーテキストやリンク属性など基本項目に加え、競合比較の「バックリンクギャップ(Backlink Gap)」機能で複数ドメインの被リンクプロファイルを直接比較可能です。また「バックリンクオーディット(Backlink Audit)」機能では被リンクごとに有害度(トキシシティ)スコアを0~100で算出し、スパム的なリンクを検出してDisavowリスト出力まで支援します 。被リンクの質評価には独自のオーソリティスコア(Authority Score)が使われ、ドメイン全体の権威性を総合的にスコア化して参考にできます。

Moz: 長年の歴史を持つMozは、自社開発の「Link Explorer」で被リンクデータを提供しています。20年以上蓄積したデータにより「数兆規模のリンク」をトラッキングしているとされます 。ただしデータ規模ではAhrefsやSemrushに及ばず、例えばキーワードデータでは他社の数分の一程度に留まることが指摘されています (リンクデータについても同様の傾向)。Mozはドメインオーソリティ(DA)やページオーソリティ(PA)といった独自指標で被リンクの質を評価し、被リンク元ドメインのスパムスコア(Spam Score)も提供して不自然なリンクの判別に役立てています。競合比較機能もあり、「リンクインターセクト(Link Intersect)」ツールで競合サイトにあって自サイトにないリンクを発見することができます 。ただし、Mozの被リンク更新頻度は他ツールほど高くなく、最新のリンク発見速度やデータの網羅性では劣る傾向があります 。

2. 被リンク元の連絡先メールアドレス取得機能

被リンク元サイトの管理者や担当者のメールアドレスを取得できるかも、リンク構築(アウトリーチ)において重要なポイントです。

Ahrefs: Ahrefs自体には被リンク元の連絡先メールアドレスを自動抽出する機能はありません。アウトリーチを行う場合、ユーザー自身が外部のメール検索サービス等を利用して連絡先を調べる必要があります。Ahrefs公式ブログでも、メールアドレスを見つける最も簡単な方法としてHunter.ioのようなメール検索ツールを使う手順が紹介されています 。したがってAhrefsでは、被リンク分析で得たサイト情報を基に手動もしくは外部ツールでメール連絡先を特定する運用となります。

Semrush: Semrushには被リンク獲得(リンクビルディング)のための専用ツールである「Link Building Tool」があり、アウトリーチ作業を内包している点が特徴です。同ツールでは、指定したキーワードや競合からリンク獲得候補サイトのリストを自動収集し、さらに対象サイトの連絡先情報を自動で取得してくれます 。ユーザーは自身のメールアカウント(Gmail等)をSemrushに連携することで、Semrush上から直接候補サイトへメールを送信し、進捗管理(送信済み・返信状況・獲得リンクのモニタリング)まで一括で行えます 。つまりSemrushではワンストップでアウトリーチまで完結でき、被リンク元のメールアドレス取得も半自動化されています。

Moz: Mozには被リンク元のメールアドレスを直接抽出する機能はありません。リンク構築の際は、Ahrefs同様に外部のサービスや手動リサーチで連絡先を見つける必要があります。Mozは公式ブログで「いかにして目的の相手のメールアドレスを見つけるか」といったガイド記事を公開しており、連絡先発見がリンク構築における「永遠の課題」であると述べています 。これは裏を返せば、Mozのツール内ではメール取得機能が提供されていないことを示唆しています。したがってMoz利用時は、被リンク元サイト上の「お問い合わせ」ページの確認やWHOIS情報、外部のメールアドレス検索サービスなどを駆使して自力で連絡先を調査する必要があります。

3. 各ツールの価格プラン比較

3ツールの主要な料金プラン(月額料金)と無料トライアルの有無を以下にまとめます(※すべて2025年4月時点の公式価格、USD表示)。

ツール名

主な料金プラン(月額)

年間契約割引

無料トライアル等

Ahrefs

Lite: $129、Standard: $249、Advanced: $449、Enterprise: $1499

年額一括払い時の割引なし(※)

無料トライアルなし(※)※サイト所有者向けに無料版「Ahrefs Webmaster Tools」で限定機能提供

Semrush

Pro: $139.95、Guru: $249.95、Business: $499.95

年払いで約17%オフ

7日間の無料トライアルあり ※無料プラン(機能制限あり)も利用可能

Moz Pro

Standard: $99、Medium: $179、Large: $299 (Starter: $49の入門プランあり)

年払いで約20%オフ(例: Standardの場合年契約時は$79/月)

30日間の無料トライアルあり

※Ahrefsは原則割引を行っておらず年間契約による値引きもありません 。その代わり、自身のサイトを登録・確認することで使える無料の限定ツール(Site ExplorerとSite Auditの一部機能)を提供しています 。Semrushは無料ユーザー向けに一部機能を制限したフリープランを提供しつつ、ProおよびGuruプランを対象に7日間のフリートライアルを公式に用意しています (※提携経由では14日~30日のトライアルキャンペーンが行われる場合もあります)。Mozは30日間という長期の無料トライアルを提供しており 、導入前に有償プランの機能をじっくり検証することができます。またMozは低価格のスタータープラン($49/月)を用意するなど中小規模向けに手厚い価格設定となっており 、Largeプラン以上では複数ユーザー分のライセンスが料金内に含まれる点も特徴です (Standardプランは1ユーザー、Mediumは2ユーザー、Largeは3ユーザーまで料金内で利用可能)。

4. ユーザーインターフェース(UI)の使いやすさ

各ツールの操作画面やユーザーインターフェースの使いやすさも重要な比較ポイントです。直感的な操作性や日本語対応状況についてまとめます。

Ahrefs: AhrefsのUIは直感的で使いやすいと評判が高く、豊富な機能を備えながらも画面が整理されているため学習コストが低めです。また日本語を含む12言語のインターフェース切替に対応しており、英語が苦手なユーザーでも安心して利用できます 。※一部の新機能など完全に日本語化されていない箇所もありますが 、基本的な操作や表示は日本語で行えるため、日本人ユーザーにとって比較的親しみやすいでしょう。実際、Ahrefsは「豊富な機能と使いやすさを両立したツール」と評価されており、複雑なSEO分析もその直感的なインターフェースを使えば効率的に行えると紹介されています 。

Semrush: SemrushもUIの多言語対応を進めており、2019年に日本語インターフェースを公式に導入して以来、現在では主要画面を日本語表示できるようになっています 。機能数が非常に多いため画面項目も豊富ですが、カテゴリ別にタブやメニューが整理されているため慣れれば操作は難しくありません。総合的なデジタルマーケティングツールとして進化してきた経緯から、「ユーザーがオンラインでの存在感を高めるのを支援するユーザーフレンドリーなツール」として知られています 。ただ、新規ユーザーにとってはAhrefsに比べ情報量の多いUI(SEO以外にPPCやSNS分析機能も統合)ゆえに、最初はやや圧倒される可能性があります。しかしその分、一つのプラットフォーム上で多角的な分析を完結できる利便性につながっており、UIも用途ごとに分かりやすく設計されています。日本語ドキュメントやサポート体制も整いつつあるため、国内ユーザーでも比較的扱いやすいと言えます。

Moz: MozのUIはシンプルで初心者にとって理解しやすい部分と、やや古典的で他ツールに見劣りする部分が混在しています 。Moz Proのインターフェースは基本的に英語表示のみで、日本語ローカライズは行われていません。そのため英語に抵抗がないユーザーにとっては問題ありませんが、日本語環境で使いたい場合はややハードルがあります。ただ、機能数自体が必要最低限に絞られている分画面は簡素でナビゲーションも直線的であり、中小サイトの管理やSEO初心者には扱いやすいとの声もあります 。一方で、一部の画面は情報が不足気味であったり、逆に必要以上に項目が並んでいて煩雑との指摘もあります 。例えばサイト監査系の機能について、あるレビューでは「SemrushやAhrefsのサイト監査ツールの方がMozよりユーザーフレンドリーだ」と評されています 。総じてMozのUIはシンプルさと機能不足紙一重の部分があり、上級者には物足りなく感じられる一方、基本的なSEO管理には十分な使い勝手を備えています。なお、Mozはブラウザ拡張機能のMozBarも提供しており、検索結果上でドメインオーソリティを表示するなど手軽にSEO指標を参照できるツールも利用可能です 。このような周辺ツールを組み合わせることで、UIの弱点を補いつつ実務に役立てる工夫もされています。

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5. まとめ

以上、Ahrefs・Semrush・Mozの3ツールについて、被リンク分析機能、連絡先メールアドレス取得可否、価格体系、UIの観点から比較しました。それぞれ強みと弱みが異なり

Ahrefs: 被リンクデータの網羅性・更新速度で優れ、UIも直感的で使いやすいが、価格は高めでアウトリーチ機能は外部頼み。

Semrush: SEO以外も含む総合力が魅力。被リンク分析も充実しアウトリーチ機能まで内包。UIは多機能ゆえ習熟に時間がかかるが、日本語対応も進み幅広い用途に対応。価格帯はやや高いものの機能対効果は高い 。

Moz: 手頃な価格と基本機能の使いやすさが魅力。被リンクデータ規模や先進機能では劣るものの、ドメインオーソリティなど業界標準的な指標を提供し、初心者や小規模サイトには必要十分な機能セット 。

という特徴があります。自社のニーズ(例えばデータの量と鮮度重視か、オールインワン性か、コスト優先か)に照らし合わせて、最適なツールを選定するとよいでしょう。

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